台風のような

 

 

夏休みが終わった。同時にデカい台風が首都圏を襲った。街中にちいさな葉っぱのかけらが飛び散り、電車がメチャメチャになり、駅前にはブチ切れたおじいさんたちがすし詰めになっていて、わたしはドトールのカウンターでとなりに座ったOLと肩をぎちぎちさせながら紅茶を飲む。となりのOLは世界中ぜんぶがなんにもおもしろくないという顔でゲームをしている。指だけが正確に勝ちのフリックを続ける。
恋人から朝七時に家を出て八時半に会社に着いた、と連絡がある。フロアには本部長しかいなかったらしい(本部長は新幹線で通勤している)。ああお願いです政府のひと、このすばらしくまじめでやさしく控えめなわたしの恋人に、皇居と同じ広さの家に住み、死ぬまでおいしいものを食べて、アストンマーチンに乗って都内を爆走し電柱にぶつけて大破させてももう一回アストンマーチンを買えるくらい、そんでまだ余ってるくらいのお金を振り込んであげてください。なんせすばらしいのに控えめなので。わたしは二時間紅茶飲んで、あきらめて帰りました。さよなら怒れるおじいさんたち!