ムード、ください

疲れたり、むしゃくしゃしたり、形容詞がつくほどではないが形になりつつあるような不思議なむずむずを感じるとコンビニを三件ぐらいハシゴする。そしてものすごくカロリーが高くて栄養のない食べ物をむさぼりながら帰る。そういうときがたまにある。それが今だ。からあげクンハッシュドポテトとアイスクリームをむしゃむしゃ食べていて、フィッシュマンズを聞いている。食べてもなんにもならないのはわかっているのだけど、三ヶ月に一回くらいのペースでしてしまう。こういうとき店員に渡した百円玉は、結局のところ速さを買っている。てっとりばやくフィーリングを手に入れるためにわたしは三ヶ月に一回、深夜に駅前のローソンで永遠に働いているセトさんに百円玉を渡し続ける。このフィーリングはきっと時間をかければもっとすばらしく、記憶に残り、栄養価だって高いものが手に入るってわかってる。疲れたらお風呂に入ってさっさと寝れば、八時間後にはすっきり明日をはじめられる。でもわたしは八時間も待てないのだ。授業でデッサンをしているといかに自分が風景を雑に見ているかがわかる。微妙な陰影で、ものの凹凸を判断している自分に気づく。わたしはわたしがほしかったフィーリングがなんだったのか、結局わからないまま食べ終わったアイスの棒をなめる。