ぴかぴかを集める

友だちの家に初めて遊びに行って、彼女の生活を見せてもらう。彼女は時間があると近所で放し飼いされている犬と見つめ合うために、すこし遠回りをするらしい。まず彼女は犬をじっと見る。すると、犬も彼女を見る。犬は彼女を見つけた瞬間、走りよって吠えまくる。ただそれだけ。その日、帰り際に「ちょっと見てく?」と言われて、ほんとうにちょっとだけ犬を見てから帰った。
インターネットがどんどんみんなのものになって、なんだって気になったらじゃんじゃん調べちゃって、なにかに詳しくなったような気分になっている。だから彼女と犬みたいな、季節の匂いのする空気をまとった情報がとっても尊いものになりつつある(と思う)。電車で見た変なひとや、友だちにオススメされて読んだ本、過去付き合っていた誰かに似た匂いに街中で気付いたり、飲み会で隣のひとがちょっとだけこぼしたセンテンスみたいな、生活からこぼれた息づかいは時間が経つにつれてどんどんピカピカに輝きだす。そして、気付いた生活のピカピカをさりげなく教えてくれるひとはたいていすばらしい。だって生活はそのひとの手づくりだから。住む場所とか仕事みたいな大きいことではなくても、今日はパルムじゃなくてハーゲンダッツいっちゃうか迷ったり、やることあったけどもうちょっと一緒にいたいから買うものないけどコンビニ寄っちゃったり、全員が等しくひとつひとつ時間をかけて生活をこしらえてる。あたしたち、そういうものをずっとずっと可愛がっていこうね。